笛吹権三郎の昔話

 むかし、上釜口の井沢 (現三富村)に母親と二人暮しの権三郎という

孝行息子がいました。笛がたいそう好きで、また上手でした 

ある晩、豪雨のため氾濫した子西 (ねとり) 川の濁流に母子は

のみ込まれてしまいました。

けれども若い権三郎は流木につかまって九死に一生を得たのです。

助かった権三郎は、権三郎の名を呼びながら流されていった母親のことが

片時も忘れられず毎日毎晩母親を探しました。

母親の好きだった曲を吹きながら、ずっと川下の方まで

川辺を探しまわったのです。

疲れきった権三郎は、ある日、川の深みで足をすべらすと、

そのまま沈み死んだのです。

夜になると川の流れの中から美しい笛の音が聞こえてくるようになったのは、

権三郎が死んでからのことでした。

   村人たちは、いつしかこの流れを笛吹川と呼ぶようになりました。

                                 −いさわの民話よりー    

 

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